■後記
■とおり
■原告
原告
Bが本件各預託金を誰から預かったかについては争いがあり,原告らは, 原告会社から預かったものであると主張し,被告は,Aから預かったもの であると主張しており,本件各預託金債権が原告会社又はAのいずれに帰 属するかが争点となっている。)。
(甲26)
記
平成11年10月22日1億円
平成14年9月4日1000万円
イ原告会社(設立当初の商号は「株式会社C」)は,平成8年5月,A, D外1名を取締役とし,Dを代表取締役として設立されたが,D外1名は 平成11年1月31日に,Aは同年4月20日に,それぞれ辞任し,同日, Eが原告会社の代表取締役に就任し,Aの父であるF及びAの妻であるG が原告会社の取締役に就任した。
原告会社は,平成17年4月1日,「株 式会社H」に商号変更を行った上(同年5月24日登記),同月2日,会 社分割により,株式会社Iを設立し,Eが同社の代表取締役に就任した。
Eは,同月23日,原告会社の代表取締役を辞任したが,同日,原告会社 の取締役に重任されている。
(甲23,26,乙11,12,29,弁論 の全趣旨)
ウAは,本件刑事事件に係る逮捕の当時,原告会社,J株式会社(以下「J」 という。)等の関連会社約13社を経営していた。
(甲23,乙11,28, 31,34)
(2) 本件訴訟に至る経緯
ア債権差押処分
処分行政庁は,本件各預託金はいずれもAが株式会社C名で原告Bに預 け入れたものであり,本件各預託金債権はAに帰属するとの判断の下に, 平成17年9月14日,Aの滞納に係る所得税等の徴収のため,国税徴収 法(以下「徴収法」という。)62条に基づき,本件各預託金債権を被差 押債権とする各差押処分を行い(以下「本件各差押処分」という。),同月 15日,原告Bに対し,各債権差押通知書を送達するとともに,同日,A に対し,本件各差押処分に係る各差押調書謄本を送達した。
本件各差押処 分における被差押債権の表示は,別紙差押債権目録記載1及び同2のとお りであった。
(甲3ないし6,乙7,弁論の全趣旨)
イ不服申立て(その1)
A及び原告Bは,平成17年11月11日,処分行政庁に対し,本件各 差押処分についてそれぞれ異議申立てをしたが,処分行政庁は,平成18 年2月2日,これらをいずれも却下する決定をした。
A及び原告Bは,こ れを不服として,同年3月3日,国税不服審判所長に対し,それぞれ審査 請求をしたが,国税不服審判所長は,同年10月16日,これらをいずれ も棄却する裁決をし,各裁決書謄本は,同月17日,A及び原告Bに送達 された。
(甲7ないし18,弁論の全趣旨)
ウ訴え提起
原告らは,平成19年4月17日,本件各訴えを提起した。
(顕著な事実)
エ不服申立て(その2)
原告会社は,平成19年4月17日,本件各差押処分について国税不服 審判所長に対し審査請求をしたが,国税不服審判所長は,同年6月14日, 国税通則法(以下「通則法」という。
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77条4項に規定する1年の不服
申立期間が経過し,同項ただし書に規定する「正当な理由」もないから, 原告会社の審査請求は不適法であるとしてこれを却下する裁決をした。
(乙 5の1・2,同6)
3 争点
(1) 本件各訴えの原告適格の有無
(2) 原告会社の本件取消しの訴えに関する不服申立前置の有無
(3) 本件各預託金債権の帰属
4 当事者の主張の要旨
(1) 争点(1)(本件各訴えの原告適格の有無)について
(被告の主張)
国は,徴収法により滞納者の第三債務者に対する債権を差し押えた場合, 被差押債権の取立権を取得し(同法67条1項),滞納者に代わって債権 者の立場に立つことになるが,この場合の国と第三債務者との関係は,一 般民事上の債権者対債務者の関係と何ら異ならず,第三債務者が任意に債 務の履行をしなければ,国がその取立権を行使するには,民事訴訟法の定 める手続に従い,被差押債権について債務名義を得た上,一般私債権の強 制執行手続を執るしかない。
そして,被差押債権の不存在を主張する第三 債務者としては,国が差押えに基づき債務の履行を求めてきたときに,こ れを拒絶すれば足りるのであり,国が取立権者となることによって,本来 の立場以上に不利益な立場に陥るおそれはない。
したがって,第三債務者は,被差押債権の不存在を理由として,差押処 分の取消し又は無効確認を求めるにつき法律上の利益を有しないから,本 件各差押処分に係る第三債務者である原告Bは,本件各訴えにつき原告適 格を有しない。
(原告Bの主張)
第三債務者は,本来は自由になし得る債務者への弁済を一方的に禁じら れるのであるし,処分行政庁が取立権者になることによって,被差押債権 の帰属を争う一連の手続に巻き込まれることとなり負担が増大するから, これらの点のみをとらえても,その法的地位に変動があると考えられる。
また,第三債務者は,もともと弁済時までに生ずるすべての事由をもって 債務者に対抗し得る法的地位を有していたにもかかわらず,弁済禁止の派 生的効果として差押えの時点以降に債務者との間に生じた事由は一切主張 し得ないという私法上重大な不利益を受けることになるから,その法的地 位に変動があるというよりほかはない。
したがって,第三債務者は,一般的に差押処分の違法性について判断を 求めることにつき直接的な利益を有するというべきであって,本件各差押 処分に係る第三債務者である原告Bも,本件各訴えにつき原告適格を有す る。
(1) 2 争点(2)(原告会社の本件取消しの訴えに関する不服申立前置の有無) について
(被告の主張)
通則法115条1項本文は,国税に関する法律に基づく処分の取消訴訟 は,審査請求をすることができる処分にあっては,審査請求についての裁 決を経た後でなければ提起することができないと定めるところ,この裁決 とは適法な審査請求に基づいてされた裁決を指すのであって,不服申立て が不服申立期間経過後にされたものであるため不服申立手続においても本 案審理を受けることなく却下されたときは,同項本文に規定する裁決を経 たことにはならない(最高裁昭和30年1 月28日第二小法廷判決・民 集9巻1号60頁参照)。
原告会社は,本件各差押処分があった日の翌日 から起算して1年を経過した後の平成19年4月17日,国税不服審判所 長に対し,本件各差押処分を不服として審査請求を行ったが,国税不服審 判所長は,同年6月14日,通則法77条4項に規定する1年の不服申立 期間を徒過した不適法なものであるとして却下裁決を行った。
したがって,原告会社に係る本件取消しの訴えは,不服申立前置を欠く 不適法な訴えである。
(原告会社の主張)
原告会社は,処分行政庁があえて原告会社に対して本件各差押処分に関 する通知を行わなかったため,不服申立てを行う機会を奪われたのである から,通則法115条1項本文に規定する不服申立前置が適用されないと いうべきである。
仮に同項本文が適用されるとしても,原告会社は,平成 19年4月12日になって初めて本件各差押処分を知ったのであるから, 通則法77条4項ただし書に規定する「正当な理由」があるというべきで あり,原告会社が同月17日に国税不服審判所長に対して行った審査請求 は有効である。
したがって,原告会社に係る本件取消しの訴えは,適法な訴えである。
(3) 争点(3)(本件各預託金債権の帰属)について
(原告らの主張)
本件各預託金債権に関する実質的な出捐者は,原告会社の元代表取締役 であるEであり,Eが原告会社(当時の商号は「株式会社C」)に貸し付 け,Eから貸付けを受けた原告会社が,原告Bに当該貸付金を刑事保釈保 証金として預託したものである。
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